ローマ法王とは? 信者13億人の最高指導者

 ローマ法王フランシスコが23~26日の日程で東京、長崎、広島を訪ねます。特に24日に長崎市で発信する核兵器廃絶のメッセージが注目されています。法王の来日・来崎は1981年の故ヨハネ・パウロ2世以来です。ローマ法王やバチカンとは、どんな存在なのでしょうか。

 -ローマ法王とは?

 世界13億人のカトリック信者の最高指導者で、欧米などでは常に言動が注目されています。イエス・キリストの代理人とされ、初代はイエスの弟子ペトロ。フランシスコは266代目に当たります。高位聖職者である枢機卿団の法王選挙(コンクラーベ)で選ばれ、日本の信者たちは「教皇」「パパ様」とも呼びます。

 -バチカン市国の国家元首とも言われているけど。

 バチカンは、カトリックの総本山を意味する「法王聖座(Holy See)」と、国家機構であるバチカン市国の総称です。1929年、イタリア・ローマに建国した面積0.44平方キロの世界最小の独立国で、観光事業や献金が主な収入源です。約180カ国と外交関係があり、武力紛争の回避や人権の確立などに注力しています。核兵器禁止条約の批准国でもあります。

 -日本とのつながりは?

 古くは16世紀に日本初のキリシタン大名・大村純忠らが派遣した天正遣欧使節が、グレゴリオ13世とシスト5世に謁見(えっけん)しました。外交関係樹立は1942年で、太平洋戦争末期の45年5月にはある米国人の申し出に基づき、休戦に向け日米の仲介を試みた記録があります。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録も支援しました。

 -ヨハネ・パウロ2世ってどんな人だった?

 東西冷戦期の78年、共産圏だったポーランド出身の初の法王となり、東欧民主化に影響を与えたといわれます。2005年に亡くなるまで130カ国以上を訪れ、「空飛ぶ聖座」と呼ばれました。来日時は東京、広島、長崎を訪問し、広島で読み上げた「戦争は人間の仕業」から始まる平和アピールは有名です。

 -フランシスコは?

 アルゼンチン生まれで、13年に初の南米出身の法王となりました。日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルらが創始した修道会イエズス会の出身です。弱者救済や環境保護、他宗教との対話に積極的で、ユーモアやアドリブ発言も持ち味です。核兵器廃絶に向けては、広島と長崎の歴史から「人類は何も学んでいない」と発言し、原爆投下後の長崎で撮影されたといわれる「焼き場に立つ少年」の写真もアピールしてきました。長崎でのメッセージも後世に残るものになることが期待されます。

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