新幹線長崎ルート 在来線の維持費 大幅増 肥前山口-諫早間 負担割合が焦点

暫定開業時の長崎ルートと並行在来線

 九州新幹線長崎ルートの開業で並行在来線となる肥前山口(佐賀県)-諫早の鉄道施設維持管理費が、当初見込みの年間2億3千万円の倍以上に膨らむ見通しであることが8日、関係者への取材で分かった。

 維持費の負担割合は2008年4月、「長崎県3分の2、佐賀県3分の1」とすることで両県が合意しているが、上振れ分については両県の主張に相違があり、今後、増額分の負担割合を巡る協議の行方が焦点となりそうだ。

 同ルートの22年度暫定開業後、並行在来線となる肥前山口-諫早はJR九州が列車を運行し、両県が鉄道施設を所有する「上下分離方式」を採用する。維持管理費は両県を走る松浦鉄道を参考に試算し、負担割合は「災害などで費用が増加した場合は折半する」としていた。

 両県によると、その後の協議で維持管理もJR九州に委託することを決定。同社が試算した結果、特急が走るJR長崎線は線路や踏切などの設備基準が高いことや資材費、労務費の高騰もあり、大幅に増える見通しになったという。関係者によると、当初の3倍程度になるとの見方もある。

 増額分について、長崎県は当初の想定とは違う新たな費用と捉え、「災害などの『など』に含まれる」などとして、佐賀県に折半での負担を提案。これに対し、佐賀県の山口祥義知事は8日の会見で「『災害などで』という場合、普通は災害か重大な事件、事故だと思う。(折半でという主張は)いかがなものか」と反論した。長崎県は取材に「協議中でコメントする段階ではない」とし、JR九州、佐賀県と3者で引き続き協議を続けていくとしている。

 同ルートの未着工区間の新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)の整備方式を巡っては、佐賀県側は長崎県が求めるフル規格に反対しており、こう着状態が続いている。

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