警備員の「ながら見守り」 登下校時に安全確保!

下校中の児童を見守る警備員=長崎市高城台1丁目

 長崎市旭町の警備会社、長崎綜合警備(星宏明社長)は今月、警備車両30台を使って日常業務をしながら子どもの登下校を見守る活動を始めた。5月に川崎市で起きた児童ら殺傷事件を機に通学の安全確保が改めて重要視される中、国も推進する業務中の「ながら見守り」を県内企業として先駆的に導入している。
 17日午後2時、長崎市立高城台小の通学路。1台の警備車両が徐行運転し、降車した警備員が「さようなら」「気を付けて帰ってね」と声を掛けながら下校児童を温かく見守った。「不審者からの声掛けから交通安全の確保まで、子どもたちに迫る危険を少しでも取り除くことにつながれば」。担当する警備事業部長の本田俊雄さん(60)はそう意義を語る。
 昨年5月に新潟市で下校中の小学生が殺害された事件を受け、政府は「登下校防犯プラン」を策定。防犯ボランティアの高齢化などで「地域の目」が減少しているとして、企業や運送業者などによる「ながら見守り」を推進している。だが今年5月には川崎市でスクールバスを待っていた児童らが殺傷される事件が起こり、登下校時の安全確保の難しさが再び浮き彫りになった。
 これを機に、同社は子どもの安心安全の向上と社会貢献を目的に活動を決定。業務で県内を巡回する警備車両30台に「『ながら見守り』活動中」と記したマグネットステッカーを張った。地域での警備業務や顧客元への出動などで移動する際、周辺の小中学校付近に立ち寄り、車両の巡回や警備員の見守りを積極的にしている。子どもに危険が迫っている場合は現場で緊急対応し、警察に連絡を取る。
 長崎署によると、県内企業が業務中の「ながら見守り」を宣言して取り組むのは初めて。秋山英之生活安全課長は「日常的な見守りは警察だけでは限界があり地域のご協力が不可欠。見守りの裾野を広げることにつながる」と期待する。
 同社は本年度、長崎市を中心に県南・県央で活動を展開。来年度に県内全域に広げる方針という。本田さんは「地域の目をたくさん増やすことが重要。将来的には同業の警備会社や運送業などにも輪が広がるように、活動を普及定着させたい」と話した。

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