東洋一・国内初の有料道路橋 西海橋の歴史を劇に 紙筒でアーチ再現 西海中3年生 文化祭で上演 

西海橋のセットの前で「栄光の架橋」を合唱する生徒=市立西海中

 西海市立西海中(谷口久美子校長、151人)の3年生52人が、同校であった文化祭で、オリジナル劇「西海橋物語」を上演した。生徒たちは、総合学習で学んだ架橋の歴史を知ってもらおうと熱演した。
 西海市がある西彼杵半島はかつて「陸の孤島」と言われていて、佐世保市と結ぶ橋は戦前から地元の悲願だった。架橋事業は太平洋戦争で中断し、1955年に全長316メートルの当時「東洋一」と呼ばれたアーチ橋が開通。国内初の有料道路橋として長崎と佐世保を結ぶ最短ルートとなり、県内の人や物の動きを変えた。
 西海橋が昨年、国の登録有形文化財になったため総合学習のテーマに選んだ。生徒たちは1学期に専門家の講演を聞き、現地見学をして理解を深めた。脚本は社会科の原口幸恵教諭が手掛け、生徒らは9月から練習と舞台セットの準備を始めた。
 劇は18日に上演。架橋に尽力した政治家や技術者、時代背景などを演技と映像を交え紹介し、音楽はピアノで生演奏した。幕あいには、地元の縫製業者が提供した紙筒を骨組みに使い、長さ10メートルの橋を組み立てた。最後に全員でヒット曲「栄光の架橋」を歌うと、会場から拍手が湧き起こった。
 建設所長を演じた増山心人(しんと)さん(15)は「すごい橋が身近にあることに驚いた。みんなで劇を作りあげた達成感があった」。セットを手掛けた前田大吾さん(15)は「さまざまな人の思いが詰まった橋と実感できた」と満足げだった。

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