古民家解体取りやめ 飲食店に 壱岐の自然と街並みに感動

オープンした飲食店と空閑さん=壱岐市

 壱岐の自然や住民の温かさにひかれ、福岡市から長崎県壱岐市芦辺町芦辺浦地区に移住した空閑(くが)秀海さん(77)が、解体を依頼されていた古い民家を改修して飲食店をオープンさせた。空閑さんは「仕事で壱岐に来た日に移住を決断し、次の日には住民票を移した。人生の後半に夢のような生活ができて幸せ」と話す。
 看板の設置や家屋の解体などの事業を手掛けていた空閑さんは、仕事の下見で6月、来島。解体の依頼を受けた築約70年の空き家は瓦が落ち、脇の通路が通行止めになるほど老朽化していたが、土台はしっかりしていた。2階に上がり、目の前に広がる湾と街並みに感動。以前から海の見える美しい場所で余生を過ごしたいと考えていたこともあり、建物の買い取りを決めた。

解体予定だった古民家を改修した店内

 自ら建物を改修し、約2カ月で完成。「改修中も地元の人が声を掛けてくれた。この町はいい人ばかり」と住民の温かさに心打たれ、町内会や奉仕作業にも積極的に参加している。
 飲食店「居食処 空と海」は、1階がいろりを囲む席とカウンター、2階は和風喫茶に仕立てた。居酒屋などの飲食店経営の経歴を生かし、串カツや瓦そば、宮崎の地鶏を使った料理を提供。趣味の魚釣りで店の前の堤防から釣ったアジを振る舞うこともある。
 空閑さんは「高齢だしあと何年やれるか分からないが、頑張る若者がいれば店を引き継いでほしい」と話している。空閑さん(電080.4277.7481)。

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