国境離島新法で4市町 雇用創出へ29事業採択 対馬の韓国人観光ゼロ

 長崎県対馬市、壱岐市、五島市、新上五島町の4市町は8日、国境離島新法に基づき新規雇用を伴う創業と事業拡大が補助対象となる「雇用機会拡充支援事業」の本年度第二次採択結果を発表した。4市町で計29件が採択され、新規雇用者数は計56人となる見込み。
 採択件数の内訳は▽対馬市=事業拡大2▽壱岐市=同8▽五島市=創業2、事業拡大12▽新上五島町=創業1、事業拡大4。
 対馬市で採択された2件の内訳はアスパラガス栽培と肉用牛繁殖、林業用重機を導入した木材生産能力拡大。2017年度の制度創設以来初めて、韓国人観光客をターゲットにした事業の採択がなかった。市しまの力創生課は「7月の応募開始が日韓関係悪化と重なり、韓国人観光客向け事業の応募数自体が少なかったため」とみている。
 五島市商工雇用政策課によると、市内のパソコン販売業者が台湾人観光客に特化したゲストハウスを開業する事業拡大を採択した。同課は「これまで台湾からの誘客ルートはなかったので、これを機にインバウンド誘客の多様化が図れれば」としている。
 補助金は、新規雇用を条件に、機械導入や人件費などを国と地方公共団体が負担し、上限は創業が年450万円、事業拡大は年1200万円。今回の採択により、国費ベースで約1億7700万円、県と各市町で計約8900万円を支出する。各市町が採択希望事業を7~9月にかけて募集し、公認会計士ら外部有識者を含めた委員会で事業内容を審査し、採択を決めている。

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