長崎市長、東京・武蔵野市長 平和への役割語る

平和活動に関する両市の取り組みなどについて対談する松下武蔵野市長(左)と田上市長=長崎新聞文化ホール・アストピア

 長崎の被爆者らを撮影した写真家、大石芳野さんの写真展が開催中の長崎新聞文化ホール・アストピア(長崎市茂里町)で16日、同市の田上富久市長と、大石さんが住む東京都武蔵野市の松下玲子市長による記念対談があった。約80人の聴衆を前に、戦争体験の次世代への継承の在り方や、平和に向けた自治体の役割などを語り合った。
 「長崎の痕(きずあと)」と題した写真展は約70点を展示しており、17日まで(無料)。対談は、松下市長が観覧に訪れるのを機に開いた。武蔵野市は戦時中、大規模な軍需工場があったため空襲被害を受けた歴史を基に、平和推進施策を展開。田上市長が会長を務める日本非核宣言自治体協議会に加盟し、長崎市などとも連携している。
 対談で松下市長は、高校生が空襲体験者の聞き取り役を務め、広報紙に体験を掲載した取り組みなどを紹介。「一人一人が意識しないと平和な社会はつくれない。子どもたちに、平和をつくる当事者になってもらいたい」と語った。
 「最近、戦争が近くなっていると思うことも多い。政治家こそ長崎に来て、平和の尊さを知るべきだ」とも強調。田上市長は「市民社会が声を上げ続けることが大事。(被爆地外の)仲間とつながっていくことが力になる」と応じた。
 対談に先立って、大石さんが作品の一部を解説し、今年の第22代高校生平和大使、田平彩乃さん(県立長崎北陽台高2年)ら若者3人が感想を述べるトークもあった。

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