今後も米海軍の重要な場所 元海上自衛隊佐世保地方総監 香田洋二氏

「今後も米海軍佐世保基地の軍事的な役割は大きい」と語る香田氏=横浜市

 元海上自衛隊佐世保地方総監の香田洋二氏(69)=横浜市=に、強襲揚陸艦アメリカの配備の狙いや今後の米海軍佐世保基地の役割について尋ねた。

 -佐世保基地に配備される強襲揚陸艦がワスプからアメリカに交代する。どのように受け止めているのか。

 強襲揚陸艦は海兵遠征軍がある▽米カリフォルニア州▽米ノースカロライナ州▽沖縄-に関連しローテーションで配備している。今回もその一環だ。佐世保基地に配備する強襲揚陸艦は、在沖縄米海兵隊の即応部隊、第31海兵遠征部隊(MEU)と密接に絡んでいる。アメリカに代わることで戦力が上がるわけではない。むしろアメリカ級は米海軍と海兵隊の意思疎通が不十分で造られた「失敗」の船だ。ウェルドックを備えていないため、ドック型輸送揚陸艦「ニュー・オーリンズ」を付随させて佐世保に配備する分、米国の負担も増える。

 -アメリカは、航空運用機能が高いと言われているが。

 あくまでも海兵隊の航空運用能力に着目すべきだ。MEUの作戦を維持するためにオスプレイやF35Bなどを積ませているだけだ。航空戦力に貢献するのは空軍であり、空母だ。

 -ウェルドックがないことで、陸自水陸機動団が米海軍と海兵隊の水陸両用作戦を補塡(ほてん)することはあるのか。

 上陸部隊となる海兵隊と水機団とは役割が違う。海兵隊は敵地に乗り込む。水機団は島を守るものだ。海兵隊は部隊に自信を持っており、水機団にその役割を任せることはない。

 -今後の佐世保基地の展望は。

 佐世保は海軍の遺産や佐世保重工業(SSK)、艦船を泊める港もある。MEUが沖縄にある以上、佐世保は重要な場所。佐世保は燃料の補給機能があることも米海軍にとって大切だ。万が一、佐世保で燃料を補給できなくなれば、ハワイや本土まで帰らないといけなくなる。今後も佐世保の軍事的な役割は大きい。

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