「原爆さえなければ」 遺構めぐり 体験談に耳傾け 中村さん被爆講話

参加者と一緒に被爆した場所を歩く中村さん=長崎市緑町

 「戦争と原爆の遺構めぐり」がこのほど、長崎市内であった。約10人が参加。原爆で家族を亡くした上に差別にも苦しめられた中村由一さん(76)の体験談に耳を傾けた。
 県被爆二世の会(丸尾育朗会長)主催。被爆60年の2005年から毎年数回ずつ開いている。
 中村さんは2歳のとき、爆心地から1.2キロの旧浦上町(現・緑町)の自宅で被爆。兄と弟を失った。戦後に移り住んだ地区の小学校では「ハゲ」「ゲンバク」などと中傷された。大やけどを負った両足には今もケロイドが残る。
 被爆講話の後、中村さんは自宅があった場所などを参加者と歩いた。「教師からも差別を受けて悔しかった。原爆さえなければという思いが常にある」と語った。

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