原爆の不条理さ 俳句引用し訴え 松尾あつゆきさん孫・平田さん 県庁でV長崎祈念イベント

祖父の日記や俳句から戦争や原爆の不条理さを訴える平田さん=県庁

 サッカーJ2のV・ファーレン長崎は10日、県庁で平和祈念イベントを開き、被爆俳人、松尾あつゆきさんの孫、平田周さん(61)=西彼長与町=が講話。松尾さんが残した俳句などを引用しながら、妻子を失った痛みや戦争や原爆の不条理さを語った。
 松尾さんは妻と、子ども4人のうち3人を長崎原爆によって奪われた。松尾さんの俳句や日記には、3歳の息子が木の枝をくわえて「うまかとばい。さとうきびばい」と言って亡くなったことや、長年連れ添った妻が眠りについたまま息を引き取ったことなど、被爆直後の出来事が生々しくつづられている。
 平田さんは約120人の参加者を前にこうしたエピソードを紹介。「長崎で起きた真実を正確に伝えたい。(戦争や原爆を)大昔の出来事と捉えるのではなく、何が大切なのかを考えてほしい」と訴えた。
 引き続き、FC琉球とのアウェー戦「平和祈念マッチ」のパブリックビューイング(PV)もあり、約250人が声援を送った。

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