韓国の輸出優遇除外 国は観光業に支援を 長崎県内反応

韓国・釜山行きの高速船に乗り込む韓国人観光客ら=対馬市、厳原港国際ターミナル

 日本政府が2日、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定したことを受け、長崎県内の観光業関係者からは韓国人客減少への対応で国に支援を求める声が上がった。一方で、製造業関係者は両国の動向を慎重に見守る姿勢を示した。

 対馬市厳原町にある厳原港には同日、韓国との間で運航する高速船(定員443人)が出入港した。この日の乗船客は1往復で計約280人。同港関係者によると、昨年同期比で6割ほどの減少だという。30代の韓国人夫婦は午後の帰国前にテレビニュースを見て「周りの目もあって日本に来にくくなる」と困り顔だった。

 対馬観光物産協会の江口栄会長(64)は、同町内で韓国人客も利用するホテルを経営。「本土より韓国が近い地理条件で、国内集客は難しい」と苦渋の表情。一方で「ずっともめている日韓関係を整理する好機でもある」と指摘し、「国境の島を守るため、国には低利の融資制度創設など支援をお願いしたい」と話した。

 両国関係の悪化に伴い、日本企業からも不安の声が出始めているが、県内のある電子機器メーカーは「生産拠点が海外にあるので、今のところ大きな影響はないと考えているが、推移を慎重に見守りたい」としている。県産業労働部の担当者も「刻々と事態が動いている。今後の動向を注視したい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社