「核禁条約参加の議論を」 長崎大レクナ・政策研究報告 第8号 広島・長崎の役割を強調

核兵器を巡る現状について話す(右から)吉田氏、鈴木氏、広瀬氏=長崎市、長崎大文教キャンパス

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は31日、核軍縮を巡る課題や展望をまとめたポリシーペーパー(政策研究報告)を発表した。「核の傘」に依存し核兵器禁止条約に反対している日本などの国々に対し、政府関係者と専門家、市民が条約参加を巡り議論するよう提言した。
 レクナセンター長の吉田文彦氏と、副センター長の鈴木達治郎氏、広瀬訓氏が長崎市の長崎大文教キャンパスで会見し、概要を説明した。
 未発効の核禁止条約を巡っては、米国政府が反対する一方で全米市長会議が支持していたり、核兵器製造企業に投融資しない金融機関が欧州や日本で増えていたりする現状を解説。条約発効に向けて、広島・長崎の両被爆地が果たす役割は大きいと指摘した。
 吉田氏は、唯一の戦争被爆国である日本政府に「条約参加のメリットとデメリットを議論し、国民と情報を共有することは基本的な義務だ」と求めた。
 ポリシーペーパーは2015年から随時刊行し、レクナのホームページに掲載している。今回は第8号。核兵器の近代化計画や北朝鮮の非核化問題など八つのテーマについて、レクナの教授や客員教授らが執筆した。

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