新著への思いを語る 児童文学作家・あんずさんが講演 佐世保

新著への思いや苦労などを語るあんずさん(右)と佐藤さん=佐世保市立図書館

 長崎県佐世保市宮地町の佐世保市立図書館で6日、図書館新館の開館25周年を記念して、児童文学作家、あんずゆきさん=大阪府在住=の講演会があった。

 あんずさんは佐世保を舞台にした新著「夏に降る雪」(フレーベル館、4日刊行)を手掛けた。作品は、佐世保に引っ越してきた小学生が地下防空壕(ごう)「無窮洞」(城間町)を舞台にした演劇への参加をきっかけに、戦争について考え、自分を見つめながら成長する物語。

 あんずさんは「無窮洞」の存在を知り、戦争体験者などに取材。完成を前に取材相手が亡くなったことに触れ、「語り継ぐ人がいなくなり、『真実』が薄れていくと感じた。できるだけ『真実』を入れるよう書いた。伝えることもテーマの一つ」と明かした。

 挿絵を担当したイラストレーターの佐藤真紀子さん=東京都在住=が特別ゲストとして参加し、表紙に込めた思いなどを語った。市民ら約60人が耳を傾けた。

 講演会に先立ち、あんずさんは5日、市役所に朝長則男市長を訪ね、新著を寄贈。「戦争や平和を子どもたちに伝えたい」と述べた。朝長市長は「佐世保を取り上げてもらい感謝している」と話した。

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