長崎県内 有権者の声 将来の安心 どう選択 注文や願い、不信感も

 参院選が4日、公示された。与野党が論戦の軸に据えている憲法改正や消費税増税などの是非に加え、長崎県は人口流出や高齢化、地域振興などの深刻な課題に直面している。長崎県内の有権者は今回の選挙戦をどう見ているのか。各地で声を拾った。

  ■人口減 

 人口減少に歯止めがかからず、特に離島などでは過疎化が深刻だ。島内企業の就職説明会に参加していた対馬市上対馬町の無職、平間直喜さん(58)は「生まれた頃は7万人近くいた対馬の人口が、今は半分以下の3万人くらい。学校も次々と閉校し、バスの本数も少ない」と嘆く。平戸市水垂町の自営業、石田康臣さん(74)は「地方には家業を継ぐ跡取りがいない。船や牛舎の設備投資などを全額無利子で支援するなど、Uターンしやすい政策が必要だ」と注文する。

  ■消費増税 

 10月に迫る消費税率の引き上げ。新上五島町社会福祉協議会のデイサービスを利用していた青方郷の無職、前田文子さん(71)は「年金生活なので、食事の回数を減らさないといけないかも」と困り顔。西彼長与町嬉里郷の自営業の男性(57)は「消費者の立場として8%から10%への引き上げは大きい。(軽減税率の適用など)ややこしくなるケースもある。できれば上げてほしくない」と語った。

  ■幼保無償化 

 10月からは幼児教育・保育の無償化も始まる。スーパーで買い物をしていた島原市今川町の主婦(32)は「無償化は助かるが、需要が高まれば待機児童が増えるのでは」と懸念。初めての選挙に臨む長崎女子商業高3年の尾上明日香さん(18)は「児童虐待のニュースを見ると悲しい気持ちになる。小さな子たちが安心して生きていける日本になってほしい」と一票に願いを込める。

  ■2千万円 

 年金制度の行方を不安視する声も。佐世保市中心部のアーケードを歩いていた春日町の会社員、御手洗拓也さん(26)は、参院選の投票に「興味がないので行かない」と冷ややか。「老後に2千万円の蓄えが必要とした金融庁の報告書問題は、あいまいなまま。白黒付けてほしい。年金では足りず、老後のためにお金が必要ならば、はっきりと言ってほしい」と政治への不信感をあらわにした。

  ■9条改憲 

 一方、安倍首相が意欲を示す9条改憲については、「不要」「時代に合わせて変えるのも大切」などと意見は割れた。大村市赤佐古町のパート職員、柿本明日美さん(22)は「どちらとも言えない」と判断の難しさを口にしながらも、「戦争は絶対に嫌。そこに向かっていく行動につながらないでほしい」と求めた。

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