「核そのものが人類を皆ヒバクシャに」 長崎の証言の会 森口さん講演

証言集の創刊号を手に、反戦反核への思いを語る森口さん=長崎市若草町、カトリック城山教会

 50年にわたって被爆者の証言を記録し続けている「長崎の証言の会」の事務局長を務める森口貢さん(82)は29日、長崎市内で「人類皆ヒバクシャ」と題して講演し、反戦反核への思いを語った。
 長崎の証言の会は1969年に発足。平和運動の分野における顕著な功績をたたえる今年の秋月平和賞に選ばれた。森口さんは原爆投下当時、飽の浦国民学校の3年生。佐賀県に疎開していたため無事だったが、その後、入市被爆した。放射線の影響で家族を亡くしたという。
 証言の会の活動に23年携わっている森口さんは、被爆した当時の市内の写真を示しながら被爆の状況を説明。同会が発足した経過について、被爆者の証言をただ集めるだけではなく、問題をみんなに考えてほしいという思いがあったと説明した。二度と戦争をしないために「戦時中の日本の加害の歴史も含めて、歴史を直視することが必要」と述べた。
 また原爆被爆者だけでなく、原発事故の被ばく者などの存在を挙げ、「核そのものが人類を皆ヒバクシャにしている」と訴えた。
 講演会は城山憲法九条の会が主催。約20人が参加した。

© 株式会社長崎新聞社