長崎県雲仙市小浜町出身の腹話術師しろたにまもるさん(78)=川崎市=が21日、長崎市三ツ山町の恵の丘長崎原爆ホームで、腹話術を使って原爆と平和について講演した。長崎原爆で兄を失ったことを語り、参加した被爆者の入所者約50人に「長生きして、世界に平和を訴えて」と呼び掛けた。
45歳で腹話術を始め、2001年の定年退職を機にプロデビューした。人形「ゴローちゃん」と共に東京・浅草の寄席にレギュラー出演。全国を回り、上演回数は4千回を超えている。
しろたにさんは長崎原爆で爆心地近くの工場にいた当時17歳の兄を失い「父は仏壇で毎朝泣いていた」と振り返った。被爆医師の故永井隆博士が平和を願って残した言葉も紹介した。
戦時中、英語が禁止されバイオリンが「ひょうたん型糸こすり器」と言い換えられたことなどを紹介。健康には「笑いが必要」としてゴローちゃんとの楽しい掛け合いも披露した。参加者は「元気をもらった」「いい話だった」と話した。
しろたにさんは8月3日に川崎市で「平和な8月を楽しむ会」と銘打ち落語などの芸人仲間と公演を開く。「戦争体験者がいなくなりつつある。わずかな記憶だが、伝えていきたい」と語った。
「世界に平和を訴えて」 原爆と平和 腹話術で語る
- Published
- 2019/06/22 00:00 (JST)
- Updated
- 2019/06/22 11:03 (JST)
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