海の恵み ヒジキどっさり 漁業者の対策で再生 五島・崎山中の生徒が収穫体験

岩に生えたヒジキを鎌で刈り取る生徒=五島市

 五島市立崎山中(山下敏成校長、29人)の生徒が17日、下崎山町の海岸でヒジキの収穫を体験した。市内では磯焼けで収穫が難しい地域もあるが、崎山地区では漁業者らが対策に取り組み徐々に回復。生徒は貴重な海の恵みを感じながら、岩にびっしりと生えたヒジキを鎌で丁寧に刈り取った。

 五島市水産課などによると、磯焼けの原因はイスズミやアイゴなどの魚の食害。近年、海水温の上昇で冬に魚の活動が活発になり、ヒジキを食い荒らしたとみられる。同地区のヒジキ生産量は1996年にはピークの54トンに上ったが、2010年以降は全く収穫できなくなっていた。

 こうした状況を受け、崎山漁業集落(竹野弘茂代表)が数年前から対策に乗り出した。現在は下崎山町の岩場の周辺海域約10ヘクタールを囲むように、魚を寄せつけないネットを設置。2017年から収穫が再開できるようになり、竹野代表によると、昨年はヒジキ約800キロを収穫した。

 同校は昨年、かつては恒例行事だった収穫体験を10年ぶりに再開した。今年も1、2年生20人が参加し、1.5メートルほどに伸びたヒジキを収穫。数日間かけ天日干しして各家庭に持ち帰る。1年の里中知矢さん(13)は「これだけ採っても、まだまだたくさんある。ヌルヌルして収穫は難しかったけど、食べるのが楽しみ」と話した。

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