海自ヘリ救急搬送維持を 長崎県、2020年度の80件発表

 長崎県は6日、2020年度政府施策に関する提案・要望80件の内容を発表した。重点項目は33件。「自衛隊による県内離島からの急患搬送体制の維持・確保」を初めて盛り込んだ。海自大村航空基地を拠点とする海上自衛隊第22航空群で、夜間などに「災害派遣」として離島からの救急搬送任務を担ってきた救難ヘリコプター3機(UH60J)のうち、1機が3月に老朽化のため除籍。残り2機も数年後に除籍となるが、後継機の配備計画はないという。
 海上自衛隊第22航空群配備のヘリコプターによる県内離島からの救急患者搬送は1958年に始まり、昨年9月で通算5千回を突破した。UH60Jが出動できない際の代替機として以前から哨戒ヘリSH60KとSH60Jが運用されているが、警戒活動が主任務で護衛艦に搭載されるため、搬送要請に応えられない状況も発生する。県は「県民の生命にとって重要な問題」と捉え、自衛隊の陸海空の統合運用による代替機能の確保を求める。
 このほか新規の重点項目は2点。「外国人材の受け入れ」では、賃金水準の高い都市部に人材が集中しないような措置などを求める。「新たな過疎対策法の制定」では、現行の過疎法期限終了後も引き続き、過疎地域の自立促進と活性化につなげる制度が不可欠とアピールする。
 継続の重点項目では九州新幹線長崎ルートの整備促進に関し、「フル規格」で整備するための環境影響評価(アセスメント)経費の予算化を初めて要望。統合型リゾート施設(IR)については、立地区域の選定基準などを示す基本方針の速やかな提示などを求める。
 中村法道知事や瀬川光之県議会議長らが12、13両日に上京し、政党や関係省庁に要望する。

© 株式会社長崎新聞社