長崎平和大学 留学生300人 被爆実相学ぶ 体験、町の惨状 被爆者 池田さん講話 若者の相互理解に期待

講話した池田さんに対し、質問や意見を述べる留学生=長崎大、中部講堂

 今春、長崎県内の大学に留学してきた外国人らが長崎原爆について学ぶ「長崎平和大学」が1日、長崎市文教町の長崎大などであった。約300人が参加し、被爆者の池田道明さん(80)の被爆体験に耳を傾けながら長崎原爆の被害の実相について理解を深めた。

 池田さんは6歳の時に爆心地から約700メートルの長崎医科大付属病院(当時)で被爆。講話では、火の海になった町の惨状や黒い雨を浴びた経験、水を求める人たちに水を与えると、その人たちが息絶えた様子などを語った。会場の留学生には「核兵器の非人道性を次世代に訴えるには若い皆さんの力が必要」と呼び掛けた。

 質疑応答では、中国から活水女子大に留学中の女子学生が日本の戦争加害に触れ、「中国人の被害を考えると、長崎原爆に対しては複雑な思いがある」と感想。「立場が違えば理解も異なるが、それぞれが認識の違いを受け入れて話し合うことが大切だと思う」と意見を述べた。池田さんも「過去の戦争は私たちにも責任がある」との考えを示し、若い世代が相互理解を深めていくことに期待した。

 インドから長崎総合科学大に留学している男子学生(22)は「被爆者の話を聞くのは初めてだったが、非常に興味を引かれた。平和に対するメッセージがよく伝わった」と話した。

 平和大学は県、市、長崎留学生支援センターが毎年開催。参加者は平和公園や長崎原爆資料館なども見学した。

© 株式会社長崎新聞社