「対州馬」「姫神山砲台跡」市文化財に 対馬市が新たに指定

対馬市指定文化財(天然記念物)となった「対州馬」(市提供)

 長崎県対馬市は30日、新たな市の文化財として、旧日本陸軍が明治時代に設けた「姫神山(ひめがみやま)砲台跡」を史跡に、本県固有種で絶滅が危惧されている「対州馬(たいしゅうば)」を天然記念物に、それぞれ指定したと発表した。いずれも4月15日付。

 比田勝尚喜市長は30日の定例会見で「いずれも他地域にない歴史と自然を物語るもので貴重。保護を進めて観光資源としても生かしていきたい」と意欲を示した。

 市教委文化財課などによると、対馬島内には明治時代から太平洋戦争までに造られた砲台跡31カ所が残る。明治期以降の戦争遺跡が市の文化財に指定されるのは初めて。

 姫神山砲台(同市美津島町緒方(おかた))は日露戦争に備え、対馬海峡を望む対馬中部の姫神山(標高172メートル)山頂に1901年に完成した。旧日本海軍要港部のあった浅茅湾に敵が侵入するのを防ぐ役割があり、日露戦争が始まった04年に6門の28センチりゅう弾砲が整備された。現在も砲座跡や観測所跡、弾薬庫跡などが良好な状態で残る。指定を受け、市史跡は計35件となった。

 対州馬は日本在来馬8種の一つ。成長しても体高約130センチと小柄だが、力持ちなのが特徴。大正時代まで島内で4千頭以上が農耕に活躍したが、機械化が進むにつれて減り、現在は島内に40頭、島外に10頭だけ生存している。指定を受け、市の天然記念物は計10件となった。

対馬市指定文化財(史跡)となった「姫神山砲台跡」=対馬市美津島町

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