日本人向け通行証 発行枚数制限か 米海軍佐世保基地 「親米薄れる」残念がる声も

基地内に入るために身分確認をしている様子=佐世保市、米海軍佐世保基地

 米海軍佐世保基地に入ることができる日本人向けの通行証をめぐり、今年に入り更新されないケースが相次いでいることが佐世保基地などへの取材で分かった。基地が発行枚数を制限しているとみられる。知人を招くなど「友好関係の象徴」とみていた関係者からは残念がる声も上がっている。
 基地などによると、正式な名称は「佐世保基地ゲストカードプログラム」(旧・佐世保基地名誉メンバーシップカード)。免許証と同じサイズ。基地は主に、地域で重要な役割を持つ人や、日米友好に貢献する人、基地をサポートする人に配布している。有効期間は1年で、年に1回の更新が必要となる。正確な枚数や始まった時期は不明だが、少なくとも20年以上前から存在しているという。一度に10人が入ることが可能。配布枚数が千枚なら1万人が門をくぐることができる計算になる。
 所有者は、基地のレストランを利用したり、知人を連れて基地内を案内したりしている。だが今年に入り、更新できる人に限りが出てきたという声が相次いでいる。「米軍から『千人から100人にまで絞る』と聞いた」という人もいる。
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 沖縄防衛局によると、沖縄にはこのような仕組みは「聞いたことがない」。事前に申請をするか、軍人と同伴した際に基地内に入ることができるという。
 佐世保基地は、取材に対し「国際情勢にも合わせて見直している」と説明。だが複数の所有者らによると、北朝鮮情勢が緊迫した際も制限されなかった。近年、所有者が基地内の立ち入り禁止区域に入るトラブルも発生したという。「(通行証配布は)基地の司令官の考え方に左右されるのではないか」との見方もある。
 今年に入って更新できなかった男性は「佐世保といえば、基地と護衛艦だ。年に2、3回は県外から訪れた知人を基地に案内していた。せっかく佐世保と米国との友好関係を築いてきたのに、親米感情が薄れていくのではないか。寂しい」と肩を落とした。

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