「人々の思い感じて」 戦時中の装備品、道具展示 佐世保基地勤務 クリッグバームさん

「普段は見られないものに直接触れてほしい」と呼び掛けるクリッグバームさん=佐世保市内の自宅

 米海軍佐世保基地に勤務しているデイビッド・クリッグバームさん(35)は、第2次世界大戦中に日米の兵士や民間人が使っていた装備品や道具を集めている。19日に、佐世保市権常寺町の「Cafe Corasa」で初めて展示会を開く。手に取ることも可能。「人々が何を思っていたのかを感じてほしい」と呼び掛ける。

 クリッグバームさんは米国カリフォルニア州出身。父親は米海軍で攻撃機の整備をしており、作業を見せたり博物館に連れて行ったりしてくれた。いつしか歴史や古い時代の飛行機が好きになり、12歳で歴史のテストで大学レベルの成績を取るほど熱中した。

 高校を卒業後、米海軍に入り飛行機の修理の業務に従事。その後は軍の記者やラジオDJなど、物事を伝える仕事に携わった。イタリアやイラクなど世界各地で勤務するたび、第2次世界大戦中に起きた戦争の歴史に触れた。

 「大戦の裏で起きたことを伝えたい」。2015年に佐世保基地に赴任。広報の仕事の傍ら、基地内の学校で歴史について話すボランティアを始めた。子どもたちに実物に触れてもらい興味を持ってもらおうと、戦時中の品物を国内の古道具品店やネットオークションで集めるようになった。

 救急セットや歯磨き粉を詰めた米国兵士のリュック、戦地の日本兵に市民が手紙や食料などを入れて届ける慰問袋…。コレクションの数は把握できないほどになった。次第に共通点と相違点があることに気付いた。兵士の見送りの際に振る国旗に、日本では「祝出征」の言葉と近い人々の名前を記していた。同じ場面でも日本のほうが強制された“儀式”のようで興味深かった。

 秋に沖縄への転勤を控えるクリッグバームさん。展示会は、カフェのスタッフが、思い出づくりと多くの人に見てもらう機会をつくろうと企画した。クリッグバームさんは「普段は見られないものをガラス越しではなく見ることができる。人が学ぶ手助けになると思う」と話した。

 展示会は午後3時~7時まで。無料。

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