国道207号改良へ“タッグ” 整備促進協、合同で今月設立 諫早・多良見 佐瀬地区 西彼・長与 塩床地区

 

 「国道」なのに曲がりくねった狭い道路が、諫早市多良見町と西彼長与町の間にある。国道207号。大村湾の絶景を楽しめるドライブコースだが、大型車の通行や車同士の離合に難があるのが長年の悩み。近年、2車線化工事が多良見町側から進んでいるが、残り約5キロは事業化のめどが立っていない。同町佐瀬地区の住民は今月下旬、隣接する長与町塩床地区の住民との合同組織設立を計画。2市町の住民が、自治体の枠組みを超えた異例の“タッグ”で、残る区間の早期事業化運動に乗り出す。
 懸案の道路は、佐賀市-西彼時津町の国道207号(延長約100キロ)の西側に位置。大村湾沿いの急峻(きゅうしゅん)な地形で道幅が狭い。多良見町喜々津地区から30分以上かかり、基幹産業のミカン集出荷に必要な大型車の通行は難しい。道路が改良されれば、農作業の軽減をはじめ、救急搬送や通院、買い物など住民生活の利便性向上、周辺地域への観光効果が期待される。
 佐瀬地区住民でつくる国道207号整備促進協(末永進会長)は1998年設立。関係機関への陳情や決起大会開催を通し、粘り強く道路改良を訴えてきた。そのかいもあり、多良見町舟津越首(こしくび)-同町崎辺田(さきべた)の2.5キロが2012年度に着工。1.5キロが完了し、残る区間も「可能な限り早く供用できるよう進行中」(県県央振興局)。しかし、残る崎辺田-長与町岡郷塩床(約5キロ)の改良工事は現時点で事業化が未定で、悩みの種となっている。
 そこで、佐瀬地区だけでなく、長与町塩床地区の住民と協力して、早期事業化への機運を高める方針に転換。整備促進協は4月12日、多良見町内で臨時総会を開き、解散を承認。末永会長は「今後の活動をより効果あるものにするための解散」とし、新組織での再出発を誓った。
 既に塩床地区住民と数回、協議を重ね、活動の方向性を確認。両地区住民による整備促進協議会は今月21日、佐瀬地区コミュニティーセンターで設立総会を開く予定。

切り立った崖の下を縫うように狭い道が続く国道207号=諫早市多良見町

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