4選の長崎市長に聞く 田上富久氏 まちづくり 皆で議論

選挙戦を振り返る田上富久氏=長崎市内

 -8万6319票を獲得した一方で、対抗馬3人の総得票数は7万7582票に上った。受け止めは。
 MICE(コンベンション)施設や新市庁舎の整備を巡り、対抗馬から反対意見が出された。市政への批判はたくさんあり、真摯(しんし)に受け止めている。市政をしっかり説明する工夫が必要だ。得票率が50%を超えたことについては心強い。
 -投票率は47.33%と過去最低を更新した。
 選挙期間中、周囲には「(現職だから)大丈夫。投票に行かなくてもいい」というムードがあり、投票率は下がるといわれていた。市政に対し、特に若い世代の関心を高めることが大事だと改めて思っている。
 -対抗馬から、財政が今にも立ちゆかなくなるような表現で批判されるケースがあった。実際どうか。
 そんなことはまったくない。楽な財政とはいえないが、以前よりも基金(貯金)が増えるなど確実に好転している。各地区を回って市民に丁寧に説明すると、理解を得ることができた。
 -住民投票実施を求める市民運動が近年5回続き、市長は条例案に全て反対、市議会も否決し、いずれも実現しなかったことも批判された。今後の対応は。
 (一定の要件を満たせば議会の議決を経ないで住民投票を実施できる)「常設型」の住民投票制度の制定に向け準備を進めたい。市も議会も当事者。第三者委員会のチームをつくって、議論していきたい。
 -現市政に批判的な人たちと今後どう向き合うか。
 意見の違いというものは必ずある。ただ、まちを一緒につくる仲間でもある。市政情報を分かりやすく伝える工夫をし、皆さんにも議論してもらいたい。
 -今後4年間について。
 JR長崎駅周辺整備や、ジャパネットホールディングスが計画しているスタジアムの周辺整備、新市庁舎、新文化施設の整備など、やることは多い。子育て支援や新しい産業の育成、人口減少を見据えた公共交通と住宅政策についてもハード、ソフト両面からテーマとしたい。時間をかけて進めてきたまちの基盤づくりをしっかり進め、暮らしやすさを高めるための取り組みも大事な仕事だ。
 -5期目への考えは。
 まずは与えられた4年間を精いっぱい、どれだけ前に進められるかが大切だ。もし(5期目を)やりたいと言っても、何の保証もない。

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