有休取得の義務化 5日以上、働き手にメリット

有給取得義務化のポイント

 労働基準法が改正され、年10日以上の有給休暇が与えられている従業員に、このうち5日以上取得させることが今月から事業所側に義務付けられました。働く人の心身のリフレッシュを図ることが目的です。新しい法律について整理しました。
 
 -何が大きく変わったの?

 これまでは働いている人が有休取得を申請するのが一般的でした。ですが、これからは従来の自己申告に加えて、取得が5日に達していない従業員に事業所側がいつ休みを取りたいかを聞き、取得日を決めることになりました。働く人にとっては有休を取りやすくなるメリットがあります。対象は年10日以上の有休がある人たち。パートタイムで働く人たちも該当します。ちなみに、年末年始などの特別休暇は、今回義務化された「5日以上」にはカウントしません。半休を積み重ねて5日以上分の有休に充てることはできます。

 -守らなかった場合、罰則はあるの?

 事業所側は従業員ごとに管理簿を作成し3年間、保存しなければなりません。労働基準監督署が定期的にチェックし、5日以上の有休を取れていないことが分かれば、行政指導することもあります。悪質だったり、再三の注意にも応じなかったりすると、罰金刑が科されることもあります。
 
 -有休を取りやすくなりそうだけれど、県内事業所の有休取得率はどのくらい?

 県の昨年度調査を見ると、30人以上の事業所の有休取得日数は平均8.8日、取得率(付与日数に占める取得日数の割合)は平均50.8%です。付与日数のほぼ半分しか取れていないのが現状で、全国平均(51.1%)とほぼ同じです。取得率が低い本県は、言い換えれば年間の総労働時間が長いということです。県や労働局などでつくる「ながさき働き方改革推進協議会」は3月末、アピール文「時間を大切にする県、長崎県!」を発表しました。県内でも働きやすい職場環境づくりを進めようと努力が進んでいます。
 
 -法律の改正で働きやすい職場が増えるといいね。

 長崎県含め、全国の現状を見てみると、働く人たちが減っています。人手が足りず、今まで以上に女性や高齢者らの活躍が期待されていますが「休みやすい環境でないと働けない」などの声も聞かれます。今回の改正をきっかけに「休みが取りやすいのなら働きたい」と思う人が増え、人手不足の解消にもつながることが期待されています。

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