新元号「令和」 穏やかな新時代へ 長崎県内反応「優しい響き、温かみ」

号外を受け取る市民(左)=長崎市浜町

 新元号が「令和」に決まった1日、長崎県民の間では平和への願いや新時代への期待が高まるとともに、去りゆく「平成」を振り返る声も聞かれた。1カ月後に迫った改元に向け、行政機関はシステム更新の準備に着手し、印章店も新元号の印鑑製作に取り掛かった。

 ■号外配布

 長崎新聞社は長崎市の大型商業施設、JR長崎、浦上両駅前など計8カ所で号外3千部を配った。

 長崎市中心部の浜町アーケードと鉄橋では計千部を配布。「令和」と大見出しが躍る号外に次から次へと手が伸び、10分ほどで配り終えた。サラリーマンや主婦のほか、高校生ら若い世代が受け取る姿も目立ち、興味深そうに紙面に目を通していた。

 ■長崎県内反応「優しい響き、温かみ」

 雲仙市の主婦、池本文(あや)さん(43)は「平成は3人の子どもに恵まれ、本当に充実していた。令和は優しい響きで温かみがあり、暮らしやすい時代になってほしい」と願う。平戸市のケアマネジャー、坂口裕紀さん(37)は「中国や米国、韓国などとの国際問題も抱えているが、『和む』という文字の通り穏やかな時代になってほしい」と話した。

 大正に生まれ四つ目の元号を迎える人たちもいる。平戸市の無職、瀬戸キチさん(98)は「戦時中は食べ物もなく苦労したが、こんなに長生きできてありがたい」。対馬市の元商店主、橋本文一さん(96)は「昭和は戦争が、平成は大災害があったが、令和は平和な時代であってほしい」と求めた。

 「令和」が現存する日本最古の歌集「万葉集」に由来することに、対馬市民有志でつくる対馬万葉の会会長の江口栄さん(64)は「万葉集約4500首のうち対馬で詠まれた歌は30首近く。万葉集の舞台を巡る観光客が来てくれることを願う」と語った。壱岐市の会社員、田上真也さん(34)は新元号発表を受け、市内の万葉公園にピクニックへ。「(改元する)5月においが生まれるので楽しみ」と声を弾ませた。

 新入学生や新社会人も新時代に期待を寄せる。長崎大1年の山口莉乃さん(18)は「女性が働きやすい社会になってほしい」と望み、「辞『令』を受け取ったばかり」という佐世保市の会社員、石橋奎典(けいすけ)さん(23)は「新入社員にとって印象に残る元号となった。国内経済が発展する時代になれば」と述べた。長崎市の会社員、本多更さん(22)は「会社の伝統を重んじつつ、進化させていけるように頑張りたい」と決意。西海市の新人職員、小浦正敬さん(28)は「住民一人一人に寄り添うことで希望にあふれるまちをつくりたい」と意欲を示した。

 子どもたちはどう受け止めたのか。

 「和永」と予想した佐世保市立広田小5年の牟田琉希君(10)は「和の字が使われていてうれしかった。どちらも習っている漢字なので覚えやすい」。「幸安」と予想した長崎精道中1年の釘島咲來(さくら)さん(12)は「令和の始まりは中学入学の節目。平和な時代が続くようしっかり選挙で投票して政治に参加する大人になりたい」と誓った。

 一方、冷静な声も。東彼川棚町の主婦、田中ひとみさん(68)は「平成が終わったわけではないのに、今からそんなに大騒ぎすることかな。ただ新しい時代はいろいろな生き方を認め合い、支え合える時代になるといい」と話した。北松小値賀町の団体役員、中尾敏昭さん(66)は平成は自然災害が多かったとして、「神戸に住んでいた時に阪神大震災に遭い、自宅の外壁が崩れ、親しい人たちも亡くなった。東日本大震災や熊本地震を見ていても、いくら対策をとっても自然の前では無力だと感じた」と振り返った。

© 株式会社長崎新聞社