長崎で被爆した田川博康さん(85)が24日、約30年前にホームステイで受け入れた米国人女性とその家族に国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(平野町)で自身の被爆体験を語り、平和や核廃絶への思いを伝えた。
女性は米ペンシルベニア州のイーディス・クックさん(55)。約30年前、ロータリークラブの交換留学で来日したイーディスさんは約4カ月間、田川さん宅でホームステイした。今回、夫のアーノルドさん(60)や14~24歳の子ども4人と日本に家族旅行。約30年ぶりの再会を果たした。
田川さんは12歳の時、自宅があった鳴滝町(当時、爆心地から約3.3キロ)で被爆。父は臨時救護所で手術を受けたが8月18日に死亡し、軽傷にみられた母親も同22日に息絶えた。田川さんは英語で体験を語り、「米国と日本は戦争したが、(今は)敵同士ではない。平和を守り、核兵器を使ってはいけない」などと思いを伝えた。
イーディスさんや家族が田川さんの被爆体験を聞くのは初めて。24日は田川さんの案内で、隣接する長崎原爆資料館も見学した。イーディスさんは「人と人との強いつながりが恐ろしい戦争や闘争を防ぎ、平和を助ける。二度とあのような悲惨なことを起こさないよう、私たちはみんな他国の人と関係を強める責任がある」とし、「若い人が話を聞く機会を与えてくれて感謝している」と話した。
「核兵器を使ってはいけない」 米国人女性家族らに体験語る 原爆で両親無くした被爆者 田川さん
- Published
- 2019/03/26 16:15 (JST)
© 株式会社長崎新聞社