旧城山国民学校教頭 故荒川秀男さん絵画展 長崎市外で初開催へ 被爆体験継承 あすから北九州で

 長崎原爆で甚大な被害にあった旧城山国民学校(現長崎市立城山小)で当時の教頭だった故荒川秀男さんの絵画展が22、23日、北九州市内で開かれる。被爆後の校舎や生き残った児童を描いた約40点が並ぶ。被爆の継承を目的として「城山小原爆殉難者慰霊会」が長崎市以外では初めて開く。
 長崎原爆戦災誌によると、旧城山国民学校校舎は爆心地から500メートルにあり原爆で崩壊。児童ら1400人以上が死亡した。校内で被爆した荒川さんは奇跡的に生還し、校舎の保全や原爆殉難者の碑の建立などに尽力した。
 被爆後にがれきで埋まる運動場と崩壊した校舎を描いた作品のほか、被爆から約3カ月後に旧稲佐国民学校で授業を再開した様子や生き残った児童の卒業式を描いた絵画を展示する。
 絵画展はこれまで城山小や市内の高校などで開催。城山小は長崎原爆の当初の投下予定地だった北九州市の児童と交流してきた経過もあり、同会が北九州市に開催を持ち掛けて実現させた。会場は同市立子ども図書館。
 同会が20日、長崎市役所で田上富久市長に報告。副会長で被爆者の本田魂(たましい)さん(75)は「被爆体験講話と違い絵画は視覚的な情報として記憶に残る。多くの人に見てもらい、戦争や原爆の悲惨さを伝えてほしい」と話した。

北九州での絵画展の開催を報告する本田さん(中央)ら=長崎市役所
被爆後に旧稲佐国民学校で授業を再開した様子を描いた絵画(城山小原爆殉難者慰霊会提供)

© 株式会社長崎新聞社