平成28(2016)年の主な出来事 平成28(2016)年

 この1年、県内で、世界で起きた出来事の数々をひと言で表すとしたら何だろう。転換か、衝撃か、あるいは混迷か。さまざまなニュースに揺れた2016年もきょうで終わる。
 長崎県経済界はビッグニュースが相次いだ。十八銀行が、ふくおかフィナンシャルグループと経営統合した上で、親和銀行と合併する計画が発表されたのが2月。ただ、独占禁止法に基づく公正取引委員会の審査が難航し、先行きは不透明感が漂う。創業の地・長崎造船所を抱える三菱重工は10月、大型客船建造から撤退する方針を示し、衝撃が走った。
 世界遺産と新幹線にも「黄信号」がともった。
 政府は2月、今夏の世界文化遺産登録が見込まれていた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦を取り下げた。名称や構成資産の見直しを経て、18年の登録を再び目指す。在来線特急と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」での22年度暫定開業で合意した九州新幹線長崎ルートは、導入予定のフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の開発トラブルが相次ぎ、開業後の姿は見通せない。
 九州も地震災害と無縁でないことを印象付けた4月の熊本地震。6月は、雲仙・普賢岳噴火災害で43人が犠牲になった大火砕流から25年の節目となり、自然災害への備えについてあらためて考える年となった。
 夏のリオデジャネイロ五輪では体操の内村航平選手をはじめ長崎県出身選手も活躍。20年の東京五輪では、選手たちはどんな輝きを見せてくれるだろうか。
 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法の施行、現職の米大統領として初めてだったオバマ氏の被爆地・広島訪問、「強い米国」を掲げるトランプ次期米大統領の誕生…。日米関係の目まぐるしい動きに、被爆地・長崎も一喜一憂した。
 17年は県庁舎移転などの大型事業が形となり、佐世保市のハウステンボスへのカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)誘致などの取り組みも本格化。まちづくりの未来を占う新たな1年となる。

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