玄海原発 事故想定し訓練 乗り換え移動「長く感じた」 県北4市の住民 不安根強く

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の3、4号機再稼働後、初めて実施した2日の原子力防災訓練。本県では原発30キロ圏内の県北4市の住民が参加した。松浦鉄道(MR)を使った避難訓練など新たな試みがあった一方、事故に対する参加者の不安は根強く、訓練の検証を求める声も出た。
 午前11時10分ごろ、避難訓練用に編成したMRの車両が佐世保駅に入った。佐世保市立江迎中の最寄り駅から乗ってきた教諭と生徒19人が下車し、バスに乗り換えて避難先の広田地区公民館へ向かった。2年の向坂彩鈴さん(14)は「原発の爆発を想像すると怖い。移動が長く感じた」と心配そうに語った。
 同公民館には、生徒らのほか吉井、世知原両地区から約100人が退避。駐車場には車両用のゲート型モニターを新たに配備し、スクリーニングで放射線量を調べた。
 壱岐市では小学生が初めて参加し、市立石田小の児童34人がバスで勝本町の市施設「かざはや」まで避難。海路と空路での島外避難の訓練もあり、一部住民が九州郵船の高速船と自衛隊のヘリコプターで福岡県へ移動した。
 平戸市では離島の住民が市中心部へ逃げる経路を確認。度島の4人が佐世保海上保安部、的山大島の5人が海上自衛隊佐世保警備隊の輸送艇などでそれぞれ海を渡り、市立平戸中で処置を受けた。度島町の民宿経営、川下一清さん(63)は「離島は高齢者が多く、避難は天候に左右される」と不安そうに話した。
 東彼川棚町の町勤労者体育センターには、原発に近い松浦市の住民23人がバスで到着。スクリーニングを受けた後、避難所の住民登録や保健師らによる問診を受け、約50分で訓練が完了した。同市御厨町、農業、七種誠一さん(56)は「実際の避難にはもっと時間がかかるだろう。ルートを分散する工夫もしてほしい」と注文を付けた。

避難所に到着後、スクリーニングを受ける参加者=佐世保市重尾町、広田地区公民館

© 株式会社長崎新聞社