「鎮守府」の見学者数好調 7月1日で130年 日本遺産認定や口コミで 「さらなる魅力づくりを」

 日本遺産に認定された「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち」の佐世保市内の構成資産を訪れる人が増えている。旧日本海軍佐世保鎮守府の開庁から7月1日で130年。市は「さらに魅力づくりを進めたい」と意気込んでいる。
 市中心部の平瀬町にある佐世保市民文化ホール(旧佐世保鎮守府凱旋(がいせん)記念館)の見学者数は“うなぎ上り”だ。市民文化ホールは、佐世保鎮守府の第1次世界大戦の活躍をたたえ、1923年に建設された。米軍が戦後、ダンスホールなどとして使用。返還に伴い、82年に市が国から譲り受けた。2014年度と15年度には耐震化や建築当時のデザインを復元するため、改修工事をした。
 市民文化ホールが把握している見学者は、工事前の13年度は285人。しかし17年度は3938人と工事前の13倍超に急増。18年度も12月末で3128人と前年同期に比べ613人増えている。
 野見山太三男館長は「日本遺産認定と、佐世保観光コンベンション協会が主催するツアー『海軍さんの散歩道』のコースになっていることが主な要因。個人的に訪れる人もおり、日本遺産の効果に驚いている」と話す。
 針尾中町の旧佐世保無線電信所(針尾送信所)も好調だ。住民でつくる「針尾無線塔保存会」や市によると、15年度は2万3028人だったが、17年度は3万7298人と1.5倍超に。18年度も12月末で2万9534人(速報値)と、前年同期比337人増を記録している。
 保存会の田平清男会長は「県が広報に力を入れており、県外からの団体客が増えた。さらに口コミで広がっている」と分析。その上で「このまま増え続けることはないだろう。見学できる施設を増やすなど新たな魅力の創出が必要だ」と指摘する。
 市観光課は「佐世保鎮守府開庁130年に向け、構成資産を巡る仕掛けや、魅力づくりに取り組みたい」としている。

見学者が増えている佐世保市民文化ホール=佐世保市平瀬町

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