古いミカン選果場 カフェに変身 長与・岡郷

 大村湾を望む長崎県西彼長与町岡郷の古いミカン選果場が、カフェや有機野菜の販売コーナーなどがある「ボーダレスラウンジ」として生まれ変わった。店を開いた江口雅志さん(38)は、「Wi―Fi(公衆無線LAN)も使えるので仕事をしに来てもいい。地元の人も通り掛かりの人も、自分の境界線を越えて解け合う面白い場所にしたい」と語った。
 建物は地元農家が所有していたスレート 一部2階建てで延べ約260平方メートル。高さ約10メートルの吹き抜けもある。1階カウンターでは、東京から取り寄せた豆を使ったコーヒーや琴海産イノシシ肉を使ったタコライスなどを提供。テークアウトのほか、ソファのある2階で海を眺めながら味わうこともできる。販売コーナー(1階)には、長与のかんきつ類や野菜、オリーブの加工品、ハーブティー(琴海産)、乾燥青ゆず(南島原市産)などが並ぶ。
 江口さんは佐世保市出身。福岡でカフェのマネジャー経験もあり、海岸沿いの倉庫でコーヒーを飲んだり、地元食材に向き合える場所を長崎市で会社員をしながら探していた。昨年2月、ここを見つけた時は約30年間使われないままで、物置のようだったという。
 江口さんがこの場所を選んだ決め手は願い通りの海を望むロケーション。外壁にツタが絡まり雰囲気もある。当時使われていた選果機の一部や旧式のはかりなどもインテリアに。ミカンのコンテナを積み、野菜の販売コーナーの土台にした。1人で片付けから始め、会社を辞め、仲間の助けもあって先月、オープンにこぎ着けた。
 今、自身もここで暮らす江口さんは「刻々と変わる大村湾の海の色や船が行き交う風景を見ながらのんびりしに来てほしい」と話す。

ミカン選果場から生まれ変わった店内。「いろんな人が来て解け合うような空気感をつくりたい」と語る江口さん=長与町
カフェに生まれ変わったミカン選果場(奥)

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