【平成の長崎】日米間人形交流 ギューリック夫妻が来県 平成16(2004)年

 昭和の初め、日米関係の悪化を憂い人形交流を実践したシドニー・ルイス・ギューリック1世の遺志を引き継ぎ、新友情人形を、日本の子どもたちに送り続けている孫のギューリック3世夫妻が1日、長崎県を訪問。答礼人形「ミス長崎(長崎瓊子)」の里帰りを提唱した長崎新聞社で、世界の平和を願い記念植樹をするなど、ゆかりの地で交流を深め
た。
 「新友情人形」は長崎県では西彼・時津小、長崎・戸町小、同・長崎精道小、佐世保・大野小、対馬・西小、諫早・鎮西学院幼稚園の6校(園)に1体ずつ贈られ、子どもたちに平和の尊さを教えている。また祖父が贈った人形のうち「エレン・C」(平戸市幼稚園)「リトル・メリー」(島原・第一小)が日米の不幸な戦争を”生き延びて”現存。夫妻は縁の深い長崎県の訪問を楽しみにしていたという。
 長崎新聞社を表敬訪問した夫妻は松平和夫社長と懇談。同社の一角にアメリカハナミズキを記念植樹。この木は日米友好のシンボルツリーとして知られ、松平社長が「平和を願う心のよりどころにしたい」とあいさつ。ギューリックさんは「人形たちは”外交官”として海を越えて日本にやって来たことをうれしく思っているでしょう」と感謝の言葉を述べた。
 この後、長崎親善人形の会主催の歓迎会があり、「ミス長崎(長崎瓊子)」里帰り実行委会長を務めた片岡千鶴子長崎純心大学長が、カンボジアに「タマコスクール」を贈ったことを報告。夫妻は人形交流の大きな発展と平和を願う心の広がりに驚きの様子だった。
 夫妻は2日に時津小や長崎原爆資料館、3日には島原第一、第三小を訪問する。
(平成16年6月2日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

来崎を記念、平和を願ってアメリカハナミズキを植樹するギューリック三世夫妻=長崎市茂里町、長崎新聞社

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