【平成の長崎】県所蔵のピカソの絵、スペインで里帰り展示へ 平成16(2004)年

 長崎県が所蔵する20世紀を代表する画家、パブロ・ピカソ(1881―1973年)の作品「鳩のある静物」がピカソの母国、スペインで開かれる「ピカソ・戦争と平和」展に出展するため、17日、長崎市を出発した。
 「鳩のある静物」は縦60センチ、横73センチの油絵で、ドイツ軍が侵攻した第2次世界大戦中のパリで描かれた41年の作。平和の象徴である鳩が硬直し、腹を見せた状態でテーブルの上に横たわっており、平和を願うピカソの強いメッセージが込められた作品とされる。
 県は、被爆50周年の95年に約7000万円で購入。県立美術博物館で展示していたが、閉館後は長崎市内の倉庫で保管しており、平成17年度に開館する県美術館で常設展示する予定。
 「戦争と平和」展は、バルセロナ市などが開催する「万国文化フォーラム」の一環として、今月25日から9月26日までバルセロナ・ピカソ美術館で開催。ピカソが戦争や平和をテーマに描いた作品を世界各地の美術館から集め、そのうちの1点に同作品が選ばれた。国内からは計6点が出展される。
 同作品は、98年に米国で開かれた「ピカソと戦争展」にも出展しており、国外の美術館への貸し出しは2度目。県美術館建設準備班は「ピカソの母国で開かれる平和をテーマにした展覧会に、被爆地の本県から出品する意味は大きい。認知度が高まり、開館する県美術館の知名度アップにもつながれば」と期待を込めた。
(平成16年5月18日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

スペインに“里帰り”するため、荷造りされるピカソ作「鳩のある静物」=長崎市内の倉庫

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