対州そば職人が手打ち GI登録記念 芳醇な香り、こしの強さ堪能 JA対馬農業まつり

 長崎県対馬市のソバ在来種「対州そば」が今春、農林水産省の「地理的表示(GI)保護制度」に登録されたことを祝い、JA対馬(縫田和己組合長)は24日、同市美津島町で開いた農業まつりで職人手打ちの対州そばを100人に振る舞った。縫田組合長は「地場産品のおいしさを地元の人に知ってもらうことがブランド化の第一歩。今後、生産量を拡大していきたい」と話している。
 対州そばは縄文時代後期、ソバとしては日本に最も早く対馬に伝わったとされる。原種に近く実は小粒だが、食味・風味に優れている。栽培面積は約85ヘクタールで、今年の収量は平年並みの40トンほどの見込み。生産者は100人ほどで高齢化している。
 農業まつりは美津島文化会館であり、静岡市の静岡在来そばブランド化推進協議会代表で「手打ち蕎麦(そば)たがた」店主の田形治さん(50)が、対州そばの手打ちを実演。鮮やかな手つきで新ソバ10割の麺に仕立てると、観客から拍手がわいた。田形さんは「対州そばは木の実を思わせる芳醇(ほうじゅん)な香りで、必ず全国に名がとどろく。この地で守ってほしい」と呼び掛けた。
 ゆでた対州そばは香りを楽しむため、つゆなしで提供。3年前まで栽培していたという対馬市豊玉町廻の農業、阿比留松栄(まつえ)さん(79)は「やはりこしがあっておいしい。対馬に来なければ食べることができないので、ソバで地域おこしができるといい」と話した。

対州そばのGI登録を記念し、そばの手打ちを披露した田形さん=対馬市、美津島文化会館駐車場

© 株式会社長崎新聞社