【平成の長崎】佐世保の米原潜の寄港回数が過去最多タイ 平成15(2003)年

 米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦サンタフェ(6、080トン、A・M・ヘール艦長ら130人乗り組み)が12月11日、佐世保に入港した。同港への米原潜寄港は今年23回目で、最多記録の1,997年に並んだが、運用形態は当時とは大きく様変わりしている。

 シードラゴンが初寄港した64年以降では通算219回目。最多だった97年は、赤崎岸壁で原潜などを支援する能力が拡充され、試験運用とみられる寄港が急増。滞在日数も延べ161日に達した。米軍の動向を監視している佐世保軍事問題研究会は「当時は母港化を探る動きがあった」と見る。

 寄港は翌年には沈静化したが、2,000年から四年連続で増加。接岸しての「休養・補給・維持」を目的とした長期滞在が多かった97年に比べ、港内中央に一時停泊し、乗員や物資を移送後すぐに出港する形態が目立っている。

 今年は、5月のイラク戦争「終結宣言」に伴い、多数の原潜がペルシャ湾などに展開していた空母の護衛を離れ、日本近海での軍事訓練を再開。海底の地形や他国艦艇のスクリュー音の集積など海洋調査活動も活発化させているという。

 米海軍第七艦隊(神奈川県横須賀市)は、寄港増加の理由について「寄港スケジュールは各原潜の任務次第で変わる。西太平洋での任務は以前に増して重要になっている」とだけ説明する。

 同研究会の篠崎正人事務局長は「調査データを頻繁に基地に引き渡しているようだ。中国や北朝鮮に対し存在を誇示する意図もあるのではないか」と分析。今後も一時寄港が増えると予測する一方、「直接の軍事作戦ではないため、乗組員や整備士の気の緩みが各地で事故につながっている」と警鐘を鳴らす。(平成15年12月12日付長崎新聞より)
   ◇   ◇   ◇
【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

佐世保港に入港した米原潜サンタフェ

© 株式会社長崎新聞社