【平成の長崎】核兵器廃絶へ結集 地球市民集会ナガサキ開幕 平成15(2003)年

 世界の非政府組織(NGO)が結集し、核軍縮を推進する道筋を探る「第2回核兵器廃絶―地球市民集会ナガサキ」が11月22日、長崎市で開幕、茂里町の長崎ブリックホールで開会集会などがあった。24日までの3日間、05年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議でNGOが力を発揮するための方策を論議する。

 米中枢同時テロやアフガニスタン、イラクでの戦争が続き、核大国とテロをめぐる情勢が悪化する中、核兵器使用への不安も広がっている。特に、強硬な軍事政策を貫く米国のブッシュ政権に対するNGOの視線は厳しい。2,000年に初めて開かれた地球市民集会は、2度目となる今回、NPT再検討会議に向けたNGOの戦略を練る重要な場となる。

 開会集会は午後2時から開かれ、市民や県、長崎市などでつくる実行委の土山秀夫委員長は基調報告で、原爆犠牲者が見た「地獄」、原爆後障害や戦後の生活苦、差別といった被爆者が遭った苦難を示しながら、集会での討論に「被爆者の悲願に応える情熱を期待する」と要請。「核神話を信奉する国の指導者の心を変えさせるのは結局、私たち市民の力だ」と呼び掛けた。

 伊藤一長長崎市長は、平和市長会議がNGOとしてNPT再検討会議へ向け行動することを紹介し「今回の集会が核兵器のない世界を実現するためのステップになることを期待する」と述べ、金子原二郎知事は「今こそ、原爆の悲惨な体験をした長崎が平和への願いを世界に届けたい」と話した。

 海外からは10カ国25人が参加登録。海外政府を代表し、ニュージーランドの国会議員、キース・ロック氏は「悲観的になりすぎることはない」として世界的な反戦運動や非核兵器地帯などの存在を強調。「この集会も成功例。核兵器のない世界へ向かう道筋を示す一助になると確信する」と述べた。

 開会に先立ち、ジャーナリストと非核宣言自治体の2分科会があった。23日は国会議員との対話や、被爆者フォーラムなど六分科会を開催。最終日の24日は閉会集会を開き、分科会討論をまとめる形で「長崎アピール」を提案、採択する。(平成15年11月23日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

開会集会で「核兵器廃絶はできる」と唱和する参加者=長崎市茂里町、長崎ブリックホール

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