「賢人会議」閉幕 核軍縮 具体的進展なし 「最後の被爆地に」認識一致 議論は継続方針

 核兵器保有国と非保有国の有識者が核軍縮の方策を考える外務省主催「賢人会議」の会合は15日、長崎市で2日間の日程を終えた。核兵器の削減・廃絶へ乗り越えるべき課題を特定し、解決策を模索することを目標に掲げていたが、目立った進展はみられなかった。
 白石隆座長(熊本県立大理事長)は終了後の記者会見で、来年4月ごろの核拡散防止条約(NPT)再検討会議第3回準備委員会に向け提言づくりを進めるのと並行して、来年前半に改めて賢人会議の会合も開き、核軍縮への議論を継続する方針を明らかにした。
 白石氏は会合について「長崎を最後の被爆地にすべきという点では完全に一致した」と強調。ただ核軍縮の在り方を巡っては、安全保障上の観点と人道上の観点で見方が異なるとして「この会議の中でも『橋渡し』の共通基盤が必要だが、それが何かまだ完全には分かっていない」と述べた。
 会合では、旧ソ連との中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄する米国の方針に関し、アジアや欧州に与える影響が話題となったほか、北朝鮮の非核化問題を契機として日本を含めた「北東アジア非核兵器地帯」構想の実現を目指すべきとの提案もあったという。
 賢人会議は、核保有国や核兵器禁止条約推進国などが対立する中、日本が「橋渡し役」となることを目的に昨年設置された。国内外の安全保障や国際法の専門家ら17人で構成し、今回は中国とオーストラリアの委員を除く15人が出席した。

賢人会議の成果について語る白石座長(前列左から2人目)=長崎市平野町、長崎原爆資料館

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