「賢人会議」開幕 被爆の実相に触れる 委員15人 体験談聴講、献花も

 14日に長崎市で開幕した核軍縮に関する「賢人会議」に出席した委員15人は、会合に先立ち、同市松山町の平和公園で献花したり、被爆体験談を聴講したりして被爆の実相に触れた。
 平和公園の平和祈念像前では、出迎えた田上富久市長が原爆投下で15万人以上が死傷したことや、毎年開いている平和祈念式典について説明した。委員を代表して、座長で熊本県立大理事長の白石隆氏と、元米核安全保障局長のリントン・ブルックス氏が献花した。
 委員は長崎原爆資料館(平野町)を視察後、隣の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で長崎の被爆者、山脇佳朗さん(84)による英語での被爆体験講話を聴講した。11歳の時に爆心地から2・2キロの自宅で被爆した山脇さんは、爆死した父を自ら荼毘(だび)に付し、遺骨を拾っていた際、父の頭蓋骨の間から脳が流れ出た記憶などをたどり「長崎を最後の被爆地にするため核廃絶に努めよう」と訴えた。
 山脇さんは取材に対し「委員の真剣な表情から、原爆の残酷さや被爆者の苦しみが伝わったように思う。私たち被爆者の体験をベースにして、核廃絶の話し合いを進めてほしい」と話し、賢人会議による議論の進展に期待した。

平和祈念像前で献花する(中央右から)白石氏とブルックス氏=長崎市、平和公園

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