「賢人会議」長崎で開幕 核廃絶へ 解決策模索

 核兵器保有国と非保有国の有識者が核軍縮の方策を考える「賢人会議」の会合が14日、長崎市で始まった。外務省などによると、核兵器を巡る安全保障と非人道性について議論。米国が破棄方針を示した旧ソ連との中距離核戦力(INF)廃棄条約や北朝鮮の非核化問題、核兵器禁止条約なども話題に上ったという。
 会合は非公開で15日まで開催。核兵器の削減・廃絶へ乗り越えるべき課題を特定し、解決策を模索する。会合の結果は同日の記者会見で明らかにする。
 賢人会議は、核軍縮の進め方を巡り対立する国の間で日本が「橋渡し役」となることを目的に、外務省が昨年設置した。米国やロシアなどの核保有国や、核禁止条約推進国ニュージーランドなど国内外の安全保障、国際法の専門家ら17人で構成。熊本県立大理事長の白石隆氏が座長を務める。
 今回は3回目の会合で長崎県初開催。委員15人が出席し、中国とオーストラリアの委員は欠席した。
 14日の会合は冒頭3人のあいさつだけ公開された。外務省代表で辻清人政務官は「厳しい安全保障環境と国で異なる核軍縮の進め方を念頭に置き、現実的で具体的な対策を着実に行うことが必要だ」と強調した。
 委員のうち、被爆者で日赤長崎原爆病院名誉院長の朝長万左男氏は、原爆が今も被爆者の健康に影響を与えていることに触れ「今回の会議が核軍縮に良い影響を与えられるよう対話、提言したい」と語った。元米核安全保障局長のリントン・ブルックス氏は「長崎を最後の被爆地にしないといけない」と述べた。

核軍縮を巡り専門家15人が出席して開会した「賢人会議」=長崎市出島町、県美術館

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