長崎県内最大規模の売り場面積となる大型商業施設「夢彩都」が2000年4月1日、長崎市元船町にオープンした。地元小売業を交えた県都での流通戦争が今後、本格化する。
初日は、平常より2時間繰り上げて午前8時に開店。正面玄関前などには計約2000人の客の行列ができた。午前6時から並んだ諫早市内の会社員、森枝孝さん(32)、千鶴さん(28)夫妻は「子供服店の福袋が目当て。遠方からの買い物には、駐車場と一体型の夢彩都が便利と感じた」と話した。
夢彩都には、核店舗の大手スーパー・イズミ(本社広島市)のほか、長崎初の鳴り物入りで出店したテナントも多く、長崎市川口町の女性中学教諭(30)は「長崎になかったおしゃれな施設。洋服はこれまで福岡・天神に買いに行くことが多かったが、これからは長崎でも買い物を楽しめそう」と声を弾ませた。
人気ブランドのスニーカーとジーンズを買った同市田中町の男子大学生(19)は「店内が広く、テナントも多い。(中心部商店街の)浜町もいい刺激になると思う」。親子連れで来た同市宿町の会社員、小田さん(42)は「全体的に若者向けの店と感じた。高校生の娘は服や靴などいろいろ買ったが、私は行きつけの百貨店でこれからも買い物するつもり」と話した。
赤ちゃんをベビーカーに乗せて買い物していた同市戸町四丁目の主婦、鈴木さん(27)は「店内はゆったりしていて、子供連れでも買い物しやすい」と話した。
店内では「長崎ぶらぶら節」で直木賞を受賞した、なかにし礼さんのサイン会や開店記念の演奏会などもあり、初日の来店客は当初予想の8万3000人を上回る10万2000人に上った。
一方、長崎市中心部の六商店街でつくる浜んまち六商会(有川雅雪会長)などは同日、夢彩都への対抗策と日蘭交流四百周年の支援事業を兼ねて、レトロファッションパレードなどを実施。商店街関係者は「人通りは普段と変わらず、夢彩都のオープンによる影響もさほど感じられない。今後の動向を見守りたい」と話した。
夢彩都周辺では当初、交通混雑が懸念されたが、目立った渋滞はなかった。
(平成12年4月2日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。
【平成の長崎】夢彩都オープン 長崎の流通戦争本格化 平成12(2000)年
- Published
- 2018/11/07 00:00 (JST)
- Updated
- 2018/12/11 13:03 (JST)
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