原爆投下正当論に反論 米加大名誉教授 長谷川氏が講演

 ロシア史を専門とする米カリフォルニア大サンタバーバラ校の長谷川毅名誉教授(77)が10日、長崎市内で講演した。日本の太平洋戦争降伏について「原爆投下よりもソ連の参戦の影響が大きかった」と指摘、原爆が終戦の決定的な要因とする「投下正当論」に反論した。
 長谷川氏は、中立条約を結ぶソ連に仲介してもらい無条件降伏を避けて終戦することを望んだ日本が、広島原爆投下後にソ連との接触を試みた経過に言及。そこでソ連から宣戦布告を受け満州が侵攻されたことで、政府が国の戦争方針を決定する「最高戦争指導会議」を開いたと説明した。
 原爆投下が戦争を終結させたとする「投下正当論」が米国内で根強い中、これらの史実を踏まえ「広島と長崎への原爆投下はただちに日本の降伏の決定を導いていない」と主張した。
 県と長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会が主催。約70人が聴講した。

原爆投下を巡る議論について講演する長谷川氏=長崎市文教町、長崎大

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