陸自相浦 水陸機動団発足から半年 南西防衛の中核へ進化 海自や他国との訓練重ね

 離島防衛を主な任務とし「日本版海兵隊」と呼ばれる陸上自衛隊水陸機動団が、佐世保市の相浦駐屯地に発足して27日で半年を迎える。これまで部隊内の連携強化や海上自衛隊、他国との共同訓練を重ねてきた。識者は「西方重視、離島防衛をにらんだ本格的な動きが見えてきた」と分析する。
 機動団の発足に伴い、作戦の主体となる水陸機動連隊に加え、水陸両用車の操縦・戦闘を担う戦闘上陸大隊、120ミリ重迫撃砲を運用する特科大隊などが組織化された。
 「戦力の一体化は創隊以来のスローガンだ」。青木伸一団長(52)が強調するようにこれまで各部隊の連携を強化してきた。日々の訓練に加え、日出生台や霧島演習場などで9回にわたり演習。機動団は「団長の指揮命令で部隊を動かせる。自隊で完結できるようになったことは大きい」とする。
 海上自衛隊や他国との共同訓練も進む。海自とは5月に九州近郊の海域で▽輸送艦から水陸両用車を発進・収容させる訓練▽エアクッション型揚陸艇(LCAC)を使った揚陸訓練-を実施した。6~8月には、米国や英国など26カ国による環太平洋合同演習(リムパック)に参加。9月1日の佐世保市総合防災訓練も共同で臨んだ。10月には米国、フィリピンの海兵隊と災害救援活動などの訓練が予定されている。
 装備についても大きな動きがあった。機動団と一体運用される陸自オスプレイの佐賀空港(佐賀市)配備計画で、佐賀県の山口祥義知事は8月、正式に受け入れを表明。国が20年間に計100億円の着陸料を支払い、これを基に県が漁業振興基金を創設するなどの使用条件で合意した。今後、反対する地元漁協と協議が始まる。青木団長は佐賀県の受け入れについて「非常にありがたい」と語る。
 軍事評論家の前田哲男さんは「海外での演習に参加するなど、海兵隊の機能を果たすべく、着々と進化している」と受け止める。さらに「オスプレイは水陸機動団の“足”になる。南西防衛の中核として相浦の位置付けが高まっていることが、この半年でくっきり見えてきた」と話す。

訓練展示を披露する陸自水陸機動団と在沖縄米海兵隊の隊員ら=4月7日、佐世保市大潟町、陸自相浦駐屯地

© 株式会社長崎新聞社