東彼川棚町長選で3選した 山口文夫さん(71) 県と連携 企業誘致を

 〈任期満了に伴う東彼川棚町長選で、新人との一騎打ちを制し、3選を果たした。3期目の課題や展望を聞いた〉
 -8年ぶりの選挙戦だったが、投票率は52・6%にとどまった。
 相手候補と政策で重なる部分も多く、有権者に分かりにくかったのかもしれない。前回(2010年、69・15%)を下回るだろうとは予想していたが、それでも(予想以上に)低かった。
 -3期目は具体的な成果が問われる。課題である人口減対策にはどのように取り組むのか。
 これまで子育て支援に力を入れてきたが、3期目は雇用確保が課題。県有地である川棚港埋め立て地への企業誘致を県と連携し実現させたい。交流人口では、佐世保港へのクルーズ船寄港増加で、大崎自然公園に立ち寄る海外観光客が増えている。消費活動につながる仕掛けを考えたい。片島魚雷発射試験場跡など町内戦争遺構の活用も引き続き進めていく。
 -役場新庁舎の建設も控えている。
 国の補助制度を活用するので20年度末までに完成させる必要がある。現在は設計業者を選定中。基本設計が決まった段階で町民にお示しすることになる。行政手続きの窓口をワンフロアに集約し、非常時に災害対策本部を置ける設備も整える構想だ。ぜいたくはできないが、町民にとって便利で親しめる庁舎にしたい。
 -町内に計画する石木ダム建設事業は、県、佐世保市と反対地権者の溝が埋まりそうにない。強制的に住民を排除する行政代執行も現実味を帯びているが、地元町長としての考えは。
 行政代執行は知事の判断。土地収用法上は地権者たちの補償はされるが、もし現実になれば世間は「土地を奪われた」と見るだろう。地元町長としては難しい立場だ。川棚川は過去に水害が起きた歴史があり、近年の異常な豪雨災害への懸念もある。治水のためには必要だが、町民同士の対立を生むわけにはいかない。今の膠着(こうちゃく)状態が長引くのは推進派、反対派双方にとってよくない。

 【略歴】やまぐち・ふみお 東彼川棚町出身。県立川棚高卒。1966年に同町職員となり、農林水産課長や税務課長などを務めた。趣味は釣りとソフトボール。「最近はなかなか参加できない」という地元のソフトボールチーム「川棚シニア」にも籍を置く。

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