雲仙湯元ホテル メモリードに事業譲渡

 創業323年の老舗温泉宿、雲仙湯元ホテル(長崎県雲仙市)は1日、冠婚葬祭大手メモリード(総合本部・長崎県西彼長与町)に事業譲渡する。後継者がおらず、県事業引継ぎ支援センター(長崎市)の仲介で合意。メモリードは名称や雇用を引き継ぎ、県外営業網を生かして「客単価を上げ、3年で売り上げ倍増を目指す」としている。

 同ホテル13代目当主の加藤宗俊会長(63)と妻の由美社長(59)は顧問に退き、後任社長に吉田昌敬(まさのり)メモリード社長が就く。加藤会長は「雇用や取引業者を引き継ぎ、歴史を積み重ねた志を理解してもらえる県内企業という条件でセンターに相談し、メモリードを紹介いただいた。条件を全て受け入れていただき感謝している」と話した。

 同ホテルによると、1695年に創業した雲仙温泉街最古のホテルで、屋号は「雲仙湯守の宿 湯元ホテル」。客室数44に約200人を収容できる。従業員数はパートも含め約40人。売上高は1億9千万円。年間平均宿泊者数は約2万人。

 メモリードの吉田茂視会長は「歴史と屋号に価値を感じた。ロビーなどを改装し、個人客向けに料理を充実させる。われわれが事業展開している福岡や熊本から集客し、長崎市ともルートをつなぎたい」と述べた。同社が運営するホテルはこれが10カ所目。中には、譲り受けた婚礼施設をリニューアルし宿泊や法事にも対応、利用を伸ばしている例もあるという。

 事業承継を仲介した同センターは、経済産業省が長崎商工会議所に運営委託。予約制でM&A(企業の合併・買収)の無料相談に応じている。

メモリードへ事業譲渡する雲仙湯元ホテル=長崎県雲仙市小浜町

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