語り継ぎ 平和な未来に 長崎県内の遺族、若者 誓い新た

 県内でも15日、平成最後の「終戦の日」に合わせた集いが開かれ、参加した被爆者や戦没者の遺族、若者らが不戦、平和への誓いを新たにした。
 被爆体験の掘り起こし、継承活動に取り組む「長崎の証言の会」などは、長崎市平野町の核廃絶人類不戦の碑前で「ナガサキ不戦の集い」を開いた。例年、8月15日と開戦の12月8日に開催し、今回で72回目。雨の中、被爆者や高校生ら約25人が黙とう、献花した。
 被爆者で、同会の森口正彦さん(79)はあいさつで「生きてよかったはずの人たちが、戦争で殺されたという仕組みや歴史的な経緯をすべての人が知るべきだ」などと訴えた。活水高1年の安元和愛(のあ)さん(15)ら同校平和学習部の3人が「73年前の記憶を風化させず、次の世代へと伝えていかなければならない。核兵器のない平和な世界を実現するために、時間がかかるかもしれないが、私たちは平和を訴え続ける」などと不戦の誓いを読み上げた。
 一方、同市城栄町の県護国神社では「英霊にこたえる会県本部」と「日本会議長崎」(いずれも理事長・池田剛康諏訪神社宮司)が戦没者追悼集会を営んだ。英霊を顕彰し、首相の靖国神社参拝などを求めて毎年開き31回目。参列者約70人は、玉音放送の録音や県出身戦没者の遺書の朗読に耳を傾け、黙とうした。
 初めて参列した同市大浦町の三浦良子さん(77)は、生後8カ月の時に父が出征し南方で戦死。「平成が終わる前に父に会いに来た。孫たちが生きる次の時代が平和であってほしい」と望んだ。戦没者遺書を読み上げた長崎大教育学部3年の戸川裕介さん(22)は「日本を守ろうとした人の気持ちになり、これからの日本を支えていかなければと思った」と話した。

「核廃絶人類不戦の碑」前で不戦の誓いを読み上げる高校生=長崎市
戦没者の遺書を朗読する戸川さん(右)=長崎市、県護国神社

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