半島非核化へ期待 核禁条約批准訴え決議 被団協総会

 14日に開かれた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の総会では、史上初の米国と北朝鮮の首脳会談(12日)を受け「米朝首脳会談が確認した朝鮮半島非核化への前進を期待する」とした特別決議を承認。国際署名運動などを通じて両国と日本政府に核兵器禁止条約の批准を訴える方針を確認し、閉会した。
 特別決議では、米朝首脳の共同声明を「非核化と平和体制構築へのスタート」と評価。両国に加え、朝鮮半島の非核化に呼応する形で、唯一の被爆国である日本も核兵器禁止条約を批准することを求めている。
 総会後の会見で、田中熙巳(てるみ)代表委員(86)は「非核化や朝鮮戦争の終戦には時間がかかるが、両国の首脳が話し合ったことは高く評価してもいい。非常に重要な結果」と指摘。この日、代表委員に就任した長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(77)は「(共同声明の)内容を見れば期待通りではないが、一国でも核がなくなることを前向きに捉えつつ、会談をきっかけに北東アジアの安全保障に発展すれば」と期待した。
 総会には全国の被爆者ら90人が出席。全ての国に禁止条約の批准を呼び掛ける「ヒバクシャ国際署名」を広めながら核廃絶を目指し、憲法9条の堅持や原爆症認定制度の改善を求めるとする総会決議も承認した。
 また、被団協に加盟しておらずオブザーバーとして出席した広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(73)が、被団協に加盟している広島県被団協(坪井直理事長)に組織統一の意向を総会で示した。広島県被団協の前田耕一郎事務局長(69)は「きちんと受け止めたい」と述べた。

被団協総会後の会見で米朝首脳会談について語る田中重光代表委員(中央)=東京都内のホテル

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