「波佐見は湯布院を超えるか」 成長の理由や背景探る本出版 ブランド化のヒントに

 ここ十数年、窯業振興とまちづくりの取り組みに力を入れ、波佐見焼の認知度向上とともに年間100万人が訪れる町に成長した長崎県東彼波佐見町。波佐見焼振興会(児玉盛介会長)は、その理由や背景を関係者の言葉で振り返り、波佐見の“元気のもと”を紹介する本を発刊した。
 タイトルは「波佐見は湯布院を超えるか」。長崎大の河野茂学長(町出身)や町内に初の本格ホテルを建設した九州教具の船橋修一社長など、これまで町に関わってきた人が寄稿。河野学長は少年時代の思い出と近年の波佐見の変化に触れ、「地域社会の将来性を感じさせてくれる場所に育てて行こう」と故郷にエールを送っている。
 十数年前に「波佐見は湯布院並みになる」と可能性を見いだした、ハウステンボスジェイアール全日空ホテル(現ホテルオークラJRハウステンボス)元社長の町孝氏が県立大で開いた講演や、地域活性に取り組む若手グループの座談会も収録。町氏は、町民のおもてなしの心が優れていることや波佐見焼があることを挙げ、「人を引きつける魅力という意味では湯布院に絶対に負けない」と力説している。
 波佐見焼のブランド化やまちづくりに長年携わり、本を監修した県立大の古河幹夫副学長は「リーダー的存在の人がどのように引っ張ってきたのか分かり、各地で『地域のブランド化』に取り組む人へのヒントになるはずだ」と話した。
 本は「波佐見陶器まつり」の60周年を記念し出版。A5判265ページ、定価2千円(税別)。同町井石郷のやきもの公園の「陶芸の館くらわん館」で販売中。問い合わせは振興会(電0956・85・2214)。

「波佐見は湯布院を超えるか」の表紙

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