遊宴船「つばき号」運航開始 松浦の豊かな海産物、景色と一緒に堪能 国認可の屋形船事業 新たな観光ツールに

 まつうら観光物産協会(小松英史代表理事)は今春、所有船の「海上遊宴船 遊友松浦つばき号」を活用した屋形船事業を始めた。観光協会の所有船による国認可事業は県内初で、全国的にも珍しい。松浦の売りである豊かな海産物を、伊万里湾を周遊しながら景色と一緒に堪能してもらう。新たな「食」の観光資源として、市近郊の企業や団体にパンフレットを送り、浸透を図る考え。
◆   ◆
 2月上旬、松浦市御厨町の御厨港沖。内海の穏やかな伊万里湾内を、つばき号がゆっくりと進む。試乗ツアーに参加した関係者約20人は、島々が織りなす景色を見ながら、マグロの鉄火巻きやフグの湯引きなど松浦の海の幸をふんだんに盛り込んだ食事を堪能。新たな観光ツールとして好評だった。
 つばき号は19トンで、全長約12メートル、幅約4・2メートル。定員45人。船内には食事ができるサイズのテーブルと椅子を備える。航路は、市内の火力発電所の奥に沈む夕日を楽しむサンセットクルーズや、伊万里湾内の大小の島々「イロハ島」と海が織りなす風景を堪能するデークルーズなど四つ。いずれも所要時間は約2時間。
 コースにより運賃が違うが、チャーター料は8万円(税込み)から。アジやサバ、クルマエビなど旬の食材に加え、年間通し提供可能なマグロやトラフグなどの仕出し料理が注文でき、飲み物は持ち込みできる。
◆   ◆
 つばき号による屋形船事業は2016年春、市内の造船会社の遊覧船を観光に生かせないか協会に打診があったことがきっかけ。協会は伊万里湾が内海で運航しやすいことから屋形船としての活用を検討。中古船を同年秋に譲り受け、市の補助(約400万円)を受け約1千万円で改修した。
 ハードルとなったのは国の旅客不定期航路事業の認可。申請には船の性能や航路の選定などに関して専門知識が不可欠なため、高橋識弘(のりひろ)事務局長自ら小型船舶操縦免許を取得。3月下旬、認可までこぎつけた。
 同協会によると、既に5月中旬までの週末は、旅行会社の予約が入っている。15日は、福岡市内の旅行会社のツアー客約40人が、松浦市福島町の福島港発着コースを利用。自然豊かな景色と海産物を詰め込んだ特注弁当を味わった。
 高橋事務局長は「松浦の『食』を売り込むため仕掛けであり、他都市にはない観光資源。非日常を楽しみたい企業や旅行客に利用してもらいたい」としている。

初のツアー利用で「遊友松浦つばき号」に乗り込む旅行客=松浦市、福島港

© 株式会社長崎新聞社