空き家再生、紅茶店に 長崎の市民団体 活用悩む所有者 若者の開業の夢 思いつなぐ

 長崎市の市民団体が、同市浪の平町にある築約140年の木造2階建て空き家を自らの手で改修し、国産の紅茶専門店と紅茶教室を24日にオープンさせる。活用方法に悩む空き家の所有者と、店を開きたい夢を持つ若者をつなげ、地域に開かれた場所を生み出す。
 携わっているのは、市民団体「斜面地・空き家活用団体つくる」。代表の岩本諭(さとる)さん(27)ら4人が長崎大の学生だった2014年に立ち上げた。同市南山手町にある築70年の古民家をシェアハウスとコミュニティースペースとして活用。地域住民や若者との交流を図っている。
 今回改装した空き家は、窓から長崎港が一望できる山手沿いの斜面地にある。所有者の西村敏道さん(83)=同市在住=は03年までに両親を亡くした後、家をどうすればいいか、頭を抱えていた。「父親が修理しながら守ってきた家で、母親の大切な場所。なんとか残したい」。16年秋、情報誌で団体のことを知り、岩本さんに連絡。翌年7月、メンバーを中心とした若者が改修に取り掛かった。
 作業では、部屋に残った荷物を整理したり、壁や床などを新しくしたりした。1階は、居留地で店を開きたいと考えていた紅茶コーディネーターの本田さなえさん(30)=同市在住=が、国産紅茶の販売と紅茶教室を開く。
 今月14、15日にあったプレオープンイベントでは地域住民ら計約40人が、この家を訪れた。西村さんは「こんなに、にぎやかなのは久しぶり。若い人たちが団結する姿はワクワクする。これからが楽しみ」とうれしそう。夢をかなえた本田さんは「まずは地域の人に来てほしいな」。岩本さんは「空き家活用に悩む人と、何か活動したい人をつなげ、地域に愛される場所をつくりたい」とそれぞれ語った。

玄関の改修作業を進める市民団体「つくる」メンバーら=2月17日、長崎市浪の平町

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